2018年6月3日日曜日

御荷鉾スーパー林道・石神峠・投石峠・塩沢峠



ああ、憧れの御荷鉾スーパー林道。

一昨年の冬・南牧村から大上峠に上った際、辻毎に取り出して確認する地図の上に、何度もその名を認めながらも、ついに走ることが叶わなかった御荷鉾スーパー林道。
西上州・御荷鉾山塊の稜線上を東西に走るこの林道、全長は実に、67.1kmもあるそうで(wikiも林道ツーサイト様も、判で押したように「関東地方最長の部類」と謳ってますが・・・では、名実ともに最長の林道ってどこなんだろう???)。 ←リンクさせて戴いている先輩方のブログで、今年は御荷鉾林道を走られた記事を目にする機会が多く、思いは募る一方でした。

そんな思いにとどめを刺したのが、連休中に訪れた秩父高原牧場からの眺め。秩父の山並みの向こうに、猫耳のように特徴ある稜線が見えました。帰宅後調べると、西御荷鉾山と東御荷鉾山であるとのこと。憧れの林道は、あの山の麓を走っている筈・・・と考えると、いてもたってもいられません。
体力的に、リウマチの痛みが始まる直前の今ならば、ギリギリ自走できるような気がしました。

例によって輪行するお金が無いので、自走してみるか・・・と、軽い気持ちで走り出したのですが・・・

この林道の華ともいえる、八倉峠を挟む前後の区間とは程遠い、実に地味~な区間を辿るだけで力尽きました。
そればかりか、まさか日付を跨いで自転車を走らせることになってしまうとは・・・(泣
休憩無しで二十四時間以上走らなければならないなんて、流石に無茶でした。粥仁田峠の記事への集中アクセスが一体何だったのか、未だ原因が分かりませんが、気付かず書いてはいけないことを書いてしまっていたのだとしたら・・・今回もまたどこかで、叱られてしまうのだろうなぁ・・・(溜息

日曜日の真夜中に出発。一日300km越えを目指すライドは、2014年春の土坂峠以来・実に四年ぶり。昨冬の栃木市蔵の街ライドの際は250キロに十八時間掛かったので、逆算してこの出発時間となりましたが・・・果たして明日、仕事できるのか?(笑
勿論灯火類は、バッチリの筈(前;前照灯+白色フラッシャー・後;赤色フラッシャー×2(自転車・バックパック))。目的地は林道とは言っても、行程の九割は平地なので、今日のお伴は一番軽い炭焼号。暫く不調が続いた前変速機は、シマノのマニュアルを見ながら前日整備したし、今日こそは粥仁田峠大涌谷ライドで演じた醜態を繰り返すことに無いだろう・・・と、愚かにもこの時は信じていました。





春の宵を楽しむ人達で賑やかな商店街を抜けて、川和台の駅前から柿生を目指します。予報に反して北風が強いです。黒川の坂で様子を見ながら前変速機をインナーへ落します。うん、キチンと小さい歯に乗ってくれました。ウロ覚えで弄った前回と異なり、今回はマニュアル見ながら整備したし、今日こそはきっと、大丈夫!

新歓コンパなんてものがまだあるのか知りませんが、大学生の一団が歓声を上げる稲城の駅前を抜けて、一時過ぎに是政橋。年末の武蔵野ウロウロライドより、十五分近く遅いペースですが、ともかく北風が強いので好転することを期待しながら、府中街道を走ります。
やはり酔客で賑やかな所沢の駅前を過ぎ、航空公園の闇に佇むYS-11を横目にペダルを回して、二時半過ぎにかわとこ線へ。中山~所沢間の前回のタイムが二時間弱なので、三十分以上のビハインド。大丈夫かいな?
元禄年間の新田開発で柵状の畑が続くこの辺りは灯も少なく、時折擦れ違うクルマのライトによって、僅かに周囲の様子が知れます。昼間は遥か先まで見通すことが出来る真直ぐな道ですが、夜明け前の今は、遠くに「ポツン・・・」という感じで現れた光が、ロードノイズを伴い近づくのが待ち遠しく感じられるほど、闇が濃く感じられます。相変わらず北風が耳元で巻いていますが、風の唸りの向こうに時折、微かな金属音が聞こえるような気がします。前変速機はアウター側ですが、またガイドプレートとチェーンが干渉し始めた様子。う~ん、どうしてだ???

三時過ぎに川越。ビルの谷間で風が弱まると、いよいよ金属音が耳に届き始めました。適当な所で、引き返す様かな~?・・・一応輪行袋も持ってきているので、いよいよダメという所まで、走り続けるという選択肢もアリですが・・・





不安を感じながら「蔵の街」。若い子達が自慢のスポーツカーを並べ、スマホで写真を撮る横で、いにしえのデジカメでボロチャリの写真を撮る、オッサンの悲惨な負けっぷり(笑
街灯の下で前ディレイラーのアライメントを確認。アウター側アジャストを緩めます。漕ぎ出すと早速、チェーンが外側に脱線。。。音鳴りは収まったので、しばらく様子を見ることにします。
今日は太郎衛門橋に向かわず、神明町を直進。R254児玉街道を北へ。入間川を渡ると、田んぼの中に物流倉庫が点在する景色。北風が真正面から吹き付けて、自転車が進みません。先週は茹だるような暑さが続きましたが、払暁の今、半袖ジャージでは肌寒さを感じます。圏央道を潜ると、またチェーンが鳴り始めました。一体、どうなってるの!?
四時に東松山へ入りました。今日も一筆書きを予定しているので、交差点名を確認しながら、慎重に進みます。「行き過ぎたか?」と、不安に思い始めた頃、見覚えのある柏崎の交差点へ。日の出まで三十分を切り、周囲の様子がはっきりと分かるようになりました。ポストフレックスで車線が複雑に切られた交差点を押しで横断して、R407千人同心街道へ。インナーに落としてペダルを漕ぐとすぐに脱線。またまた、路傍に蹲り工具を取り出します。

アジャスト弄って暫くは良かったのですが、吉見百穴の前まで来ると、アウター側の音に耐えられなくなりました。信号待ちで、軽い漕ぎ出しを意識してインナーに落とすと、BB側に脱線。
出来ることは全て試したつもりですが・・・もう一度基本に戻るべく、マニュアルを思い出しながら前ディレイラーの位置・ワイヤーテンションからやり直します。
と、今度はアウターにチェーンが乗らなくなりました。勿論、アウター側のアジャストを調整してもダメ。シフターを目一杯動かしても、チェーンがガリガリ、アウターの歯に当たるだけで、一向に変速しません。
いよいよ、前ディレイラーが壊れてしまったか?・・・もしかしたら、STIレバーかも・・・?

いよいよ、引き返す様かな~?・・・というか、横浜まで70kmも、インナーだけでヘコヘコ漕ぐの、考えるだけで気が重いんですが・・・





そろそろ始発電車が動き出す時間の筈で、東松山から輪行することも考えますが、華奢なカーボンのバイクを輪行袋に収める手間を考えると、これもまた、気が重い・・・
なによりも、折角の貴重な一日を無駄にしてしまう悔しさといったら・・・出来ることがまだ残っていないか、必死に自転車を凝視すると・・・

・・・・・・?

やけに、BBが長くね??

・・・・・・?

!  !  !


ここまでの道中、やけに右膝が回らないなあ・・・と思いつつ、走っていたのですよ。リウマチが出始めているのかと思ったのですが、そりゃ回らない筈ですわ。なにしろ、チェーンラインが狂っているのですから! このブログに限っても、ライド中に色々なトラブルに見舞われてきましたが、流石に道端でクランク周りを分解するのは初めてです。クランク周りは全部アーレンキーで固定されているので、問題なく取り外し/取り付け出来ました。

で、肝心のBB。さすがにアダプター取付け工具(TL-FC32)は持ってこなかったので、どうかな?・・・と思いつつ作業を進めましたが、軍手はめた素手で思いっきり締め込むと、チェーンラインは見た目上は、正しい位置に収まってくれた様子。クランクを取り付け、ディレイラーの位置・ワイヤーテンション・アウター&インナー・アジャストを調整すると、実にスムーズに変速してくれるじゃないですか。後は走るうちにBBが緩まないか、ということが問題ですが・・・交差点を一回りすると、ロードバイクって、こんなに軽く走ることが出来る乗り物だったなんて!・・・と、ちょっと、感動
工具と格闘する間に、すっかり夜が明けて、見上げれば抜けるような青空です。自転車が調子を取り戻してくれて、私の気分も断然、高気圧↑↑↑    なので、行くっきゃない!!わけです。一時間半ばかり、時間を無駄にしてしまいましたが、失われた時間を取り戻すべく、再びサドルを跨いで必死にペダルを回します。




六時半に熊谷・R17を北へ。昨春の渡良瀬橋ライドの際は、五時間二十分で中山~熊谷間を走ったことを思うと、ひどく不安になります。そろそろ朝食を摂りたいところですが、天下の中山道と言えども、コンビニ以外、この時間に開けている店はありません。空きっ腹を抱えて、早くもペダルを回す脚は止まり気味・・・(>_<;)
明治の実業家・渋沢栄一に関連する案内が目立つ深谷の街を抜けて、本庄へ。地蔵岳辺りは雲に覆われていますが、利根川がつくる広大な氾濫原の北に、赤城山が実に堂々と、ゆったりとした姿を見せてくれています。ゆ太郎があったので、かけそば大盛420円也で腹ごしらえ。勿論、天ぷら無料券もしっかり使いましたv(^ ^;)
フカみたいな腹をサドルの上に引き上げて、八時半前に藤岡へ。新町駅の手前で高崎線の線路を渡り、いよいよ十石街道へ。八高線の線路を渡る手前で、TREKを操る早いローディーさんに追い越されました。あまり離されないように白いジャージの背中を意識しつつ、鬼石へ。
国道に入るとバイカーさんが一杯!野太い排気音を轟かせながら、神流方面へ次から次へと走り去って行きます。「→妹ヶ谷・桜山公園」の標識に従って、私は国道を西に外れます。養蚕の高窓を備えた家々や、眩しい白壁の土蔵の間を抜けると、青々としたお山に向かってまっしぐら!という感じの二級道。狭い河谷を右左して走ります。自宅から130km自転車を走らせ漸く、それらしい雰囲気になってきました。

1キロ余りで桜山公園へ向かう道が分けます。十一月には七千本あまりが咲く冬桜の名所とのこと。妹ヶ谷を目指す県道は、三波川の北岸を遡ります。徐々に起伏が大きくなってきました。アウター⇔インナーの変速を多用しますが、実にスムーズ。ただし、アウターに入れる操作が渋くて、少しばかり閉口しますが。




十分ほど走ると、ストリートビューで予習しておいた分岐が現れました。「←神流湖(下久保ダム)・野外活動センター ↑寒桜山・妹ヶ谷」の青看に従って、左折。いよいよ、御荷鉾スーパー林道が走る稜線目指して上ります。
年季が入ったコンクリート橋を渡ると、杉林を九十九折れる急登。みるみる、脚が重くなります。
朽ちかけた小屋が路傍に立っています。壁も屋根も抜けて、建物の内側が丸見えです。もっとも、自転車しかないようですが。数えると、昭和の時代の自転車が六台も、詰め込まれているのが分かりました。懐かしい形に、思わず頬が緩みます。

15%はあろうかという厳しい上り。ふいに森が切れると、ポカポカ畑が広がる集落に出ました。地図を確認すると、諸松という場所らしい。勾配が緩んでくれることを期待して進むと、壁みたいな坂道が立ちはだかりました。。。太ももも脹脛ももう、パンパン。僅かに残る引き足だけを頼りにペダルを回すも、到頭、無念の足付き・・・押し歩き・・・orz

半ベソかいてGPSのALTを凝視するも、標高はまだ、たったの400mあまり。稜線に取り付く石神峠(850m)までが大体、蓑毛からヤビツに上る位・御荷鉾スーパー林道の最高所(1430m)に至っては、奥多摩駅~柳沢峠位の標高差を残しているという・・・泣ける。
静かな森にクリートがアスファルトを引っ掻く、カッツン・カッツン・・・という敗残の音を高く響かせながら、十分ほど自転車を押し歩くと、丁字路に出ました。林立する道標は、東は神流湖・保美濃山バス停、西は美原隧道に至ることを示しています。勿論、西へ。
尾根に乗ったのか、勾配は大分緩みました。ペダルを漕ぐことが出来る有り難さを噛みしめながら、10km/hに届かないスピードで進みます。北側の斜面の沢沿いに上ったので雰囲気が一変するのは道理ですが、それにしても先ほどまでの閉ざされた森とは全く景色が違います。月並みな表現ですが、新緑の鮮やかさが目を射るようです。木漏れ日が眩しく感じられ、青空を見上げる道は、地味に標高を稼いでいる実感があります。





全く特徴がない美原隧道を抜けると一気に幅が広がり、樹々の間から万遍無く光が届く道になりました。丁字路手前の鬼勾配を思えば夢のようではありますが、坂はキツくもなければ緩くもないといった塩梅で、距離が伸びればそれなりに疲労が溜まる仕組みになっています。先程から「御荷鉾山展望台」という道標が間欠的に現れますが、待てども辿り着く気配がありません。
やがて森の中に、四・五台ほど駐車できるスペースが。立派な地図があり、赤い印を打たれた現在地を確認すると、素っ気なく「展望台」と書かれています。ガーン!結構、楽しみにしてたのに!!説明板には「この休憩所は、秩父連山や奥多野の山並みの一大パノラマを見渡すことが出来ます。」とあり、見逃すまいぞ見逃すまいぞ・・・と周囲を見渡しますが、どうもやはり、森の木々しか見えないようで。

まあ少なくとも、瑞々しい緑があふれる森ではありますが。

雨降山への登山道を右に見ながら更に3キロほど走ると、南側に眺望が開けました。対岸にある、伐木の為に拓かれた作業道でひっかき傷だらけになったように見える山がまず目に飛び込んできますが、これは950mの塚山。その西側の山影が、丁度四年前の連休に越えた土坂峠らしい。一番遠い稜線上、真南に頭を突き出しているのが雲取山か?なかなか良い景色ですが、私がこの林道に期待する眺望は、こんなものじゃあないです。
貴人の烏帽子の様な山が正面に聳えています。あの頂が東御荷鉾山でしょう。ようやく藤岡市を抜けて、神流町に入ります。カントリーサインが境界であることを告げるこの場所は、石神峠というらしい。「関東ふれあいのみち」の案内が、妹ヶ谷不動尊へ下る遊歩道は渓谷美が素晴らしいよと、しきりに誘うのですが、無理だから。再びキビシイ勾配。壊れたレコード・プレーヤーみたいにペダルの回転が早くなったり、遅くなったり。止まってしまいそうな脚に悪態をつきながら、息も絶え絶えに上りきると、どうやら東御荷鉾山の肩を越えた様子。再び調子よく走ります。




シフターはやはり、ワイヤーを引く側が渋いです。まだ体が慣れない時期特有の、身体の芯に籠るような先週の暑さを思うと、嘘のように涼しい・・・というか、肌寒いです。予報の最高気温が20℃なので、標高900mのココは14~15℃位の筈。殆ど睡眠を摂っていないので、疲労の影響もあるのかも。

やはり南側に眺望が開きました。おおっ!今度はかなりイイぞ!
一番遠い稜線は奥秩父の山々。雲取山の西側に頭を出す目立つ山は大洞山か?さらに西に見える台形の山は、一之瀬林道の新犬切峠から見た唐松尾山にソックリに見えましたが、帰宅後調べると秩父湖南側の白石山とのこと。
先程は塚山の影に隠れていた土坂峠の鞍部が、正面に見えます。眼下には大きく蛇行する神流川と、集落---大寄か中島地区---が見えます。ズームすると、大きな切妻屋根の瓦が、太陽の光を黒々と反射させています。そして耳に届くバイクの爆音。起伏を繰り返す道に強い疲労を感じながら自転車を走らせているので、国道の方から、「早く下っておいで」と呼ばれているような感じ。誘惑を払いながら沢を回ると、南東に秩父のシンボル・武甲山が見えました。やや東に視線を振り向けますが、秩父高原牧場を見定めることはできません。
皆さんのブログを拝見すると、そろそろ、ポピーが見頃になっている様子ですが・・・

緩やかな起伏を繰り返しながらも、確実に標高を上げている印象で、GPSのALTは節目の1000mを越えました。道が再び稜線に届いたのか、北側から鞍部目指して上って来た道が合流します。埼玉や神奈川と異なる林道標識には「林道東御荷鉾線」とあります。地図を見ると、甘楽・富岡地区を流れる鏑川の支流・鮎川の上日野地区辺りに繋がっているらしい。





地理院地図には、今いる場所は「投石峠」とあります。変わった地名ですが、昔ここに住んでいたと伝えられる、鬼さんの所業にちなんだものだそうです(こちらのサイト様参照)。峠そのものは森の中で、全く眺望はありませんが、300mほど西に進むと、見晴らしの良い場所に出ました。今度は武甲山が正面に見えます。西御荷鉾山から南に延びる尾根の上ですが、秩父高原牧場は城峯山に隠れて見えない様子。
う~ん、残念。

ほとんど平らと思える道も、実はまだまだ上っているらしく、GPSのALTは1114mを指しています。時計の針は13時を回りました。八倉峠はおろか、赤久縄山すら無理っぽい。。。

だって、あと10キロ×標高差400m近くあるんだよ!?

地図を確認すると5キロ先に「塩沢峠」という場所があり、そこから万場宿に降りることが出来そう。万場宿にはもう一本、秋葉峠の手前から気奈沢川沿いに降りる道がありますが、微妙な起伏に削り取られた気力・体力を振絞って、塩沢峠を目指すことにします。
西御荷鉾山の山頂付近に赤いものが見えるので、カメラを一杯にズームすると、どうやらヤマツツジが咲いている様子。 御荷鉾山展望台からは「関東ふれあいの道」と重なることが多く、林道を抜きつ抜かれつしながら西に進んで来ましたが、登山者は皆、西御荷鉾山の肩にある駐車場にクルマを停めているらしく、登山口を過ぎると再び、静かな道行きとなりました。コナラの森にウグイスの艶やかな鳴き声が響きます。南西に眺望が開けると、特徴あるギザギザした稜線が目に飛び込んできますが、両神山なのかなぁ・・・?赤岩尾根とか二子山とか、あの辺りなのでしょうか?
国道へ降りたい気持ちをグッとこらえて「みかぼ高原」への分岐を過ぎると、林道は再び、森の中へ。眩しい新緑の天蓋の下を、西へと快走します。1100mの等高線上を右左しながら進みますが、時折ブナの白い幹が目に付きます。

風が葉を揺らす音と、鳥の囀りだけが耳に届く静かさ。





・・・どの位走ったでしょう、夢のような若青葉のトンネルがふいに途切れると、南に眺望が開けました。一番奥の稜線は、東が蕎麦粒山・天目山の辺り、正面から西側が雲取山~破風山~甲武信ヶ岳の奥秩父の山々。四年前の秋に訪れた笠取山新犬切峠から眺めた唐松尾山は、白石山に隠れて見えないようです。西側手前に聳える鋸歯の様な稜線は、やはり両神山みたい。八丁隧道の地獄ライドを思い出します。
東のハズレは見誤りようのない秩父のランドマーク・武甲山。ほぼ180度のパノラマを楽しむことが出来、「遮るもの一つ無い・・・」と書きたいところですが、桑の木と鹿除けネットによって、微妙に遮られてしまう点がやや残念です。

・・・八倉峠には遠く及ばない眺めでしょうが、
これはこれですばらしいよ、塩沢峠。

150キロペダルを漕いだ甲斐がありました。


時計は十三時三十分を回った所。保美濃山から18キロ辿ってきた御荷鉾スーパー林道とも、ここでお別れ。先輩方がこぞって称える八倉峠からの眺望を得ることは結局、叶いませんでしたが、思い残すことはありません。
    もう、マジ、限界。





塩沢峠はr46富岡神流線の峠で、北へ下ると藤岡市の鮎川沿いの集落、南に下ると十石街道の万場宿に至ります。ちなみに鮎川の集落は「名無村」というらしく、興味を惹かれますが、今日は勿論、南へ。

最初の三キロで塩沢川の河床近くまで一気に下ります。標高差、実に300m・・・つまり、平均勾配10%!
荒れた舗装に肩や腕がみるみる、重くなります。モーレツな九十九折れ。ハンドルバーにレバーが触れるまでブレーキを引き続けますが、カーブの頂点までに減速しきれない場合すらあります。神流川側から塩沢峠に上らなくて、本当によかった!!

いいかげんブレーキを握る手が痺れた頃にようやく、沢音が聞こえてきました。塩沢川に沿って東に下り始めても、勾配はチラとも緩む気配を見せません。清冽な流れが視線の端を掠めますが、実はそんなことどうでもよくて。
少しでも気を緩めると、どんどん加速してしまうのに、ブレーキ握るのもカーブに合わせてハンドル切るのも、メンドクサイ。
カーブの外に飛び出してしまうかもしれないけど、そんなことさえ、どうでもいい。

そのくらい、ただもう、ねむくて。眠くて。

        青空の下、燦燦とお日様が降り注いでいるのに。

                寒い。
                       さむい。
                                  寒くって、仕方がない。

                                               歯の根が合わなくなるほど、身体が震える

                何も考えず、眠りたい。

                       ・・・&#%xyz・・・寝たい。

                                      ネタイ。

                                               ・・・ZZZ・・・

・・・!!!
気が付くと瞼が落ちていること、数回。
一度など、路側の白線でスリップして、転びそうになってしまいました(焦





緑色の湖面が目に入ったので、堪らず自転車を停めて、休憩。傍らの案内板に「塩沢ダム」とあります。
ツーリングと思しいバイカーが二人、写真を撮っています。いや~間一髪、マジでヤバかったワ~{{(゚Д゚;)}}
峠から一時間弱・十四時半前に万場宿に到着。前夜は一時間ほど横になっただけだったので、ペダルを漕がなくてよくなった途端に、気が緩んでしまったのでしょうか?異常なまでの疲労感には、空腹が影響していることも否定できません。昨夏・ぶどう峠からの帰り道にも足を止めた八幡神社で、お賽銭して帰路の無事を祈った後は、待望のランチタイム
神流町ばかりか、藤岡・甘楽地域を含めても屈指の味との噂の、中華そば屋さんへGO!
・・・「本日、都合により臨時休業します」・・・orz・・・

鬼石あたりで美味しいお店、無いかな・・・?
十石街道をバンバン東へ下ります。三回目の神流湖畔の道は、記憶にあるより起伏が大きく感じられて、堪えました。L字型をした下久保ダムの堤体をカメラに収めている時、スポーツ・カブばかりの一団がカラカラと軽快な排気音を残して、走り去ってゆきました。
満福寺の立派な山門に、思わずペダルを漕ぐ脚が止まります。楼の立体的な造りや梁に施された彫刻の見事なこと。ただし、門の両脇にいかにも彫像が置かれるべく、柵で囲われた空間があるのですが、そこがカラッポなのはどういうことなのでしょうか?いかにも、仁王さまや金剛力士さまが、辺りを睥睨するに相応しい場所なのですが。

一筆書きを意識しながら鬼石に入ります。往路に三波川へ入った場所の1キロ手前で国道を外れて、神流川の右岸へ。長かった群馬を離れて、埼玉県神川町へ入ります。目も眩むばかりの橋の上から見る神流川の流れは、渓谷の木々を映すような緑色を湛え、深く抉られた崖下を静かに流れています。児玉に至る県道を走り始めてすぐ、チョ~速いローディーさんに追い越されました。『モヒカン族の最後』というか、バリ島土産の人形というか、ともかく山頂に生える木だけを残して伐採された不思議な小山の姿に目が釘付け。ゴルフ場の敷地にある90mほどのお山ですが、GoogleMapを信じるなら、どうも城跡らしい。鬼石の街中を行くには、役場の300m先にある橋で再び県境を跨がなければいけませんが・・・一筆書きが破たんするのが怖いので、直進。お昼ごはん、どうしよう・・・(T T)






5キロ弱で、R462に突き当たりました。寄居への道は平坦なものとばかり思いこんでいたのですが・・・神川町と本庄市の境にあるちょっとした峠をはじめとして、緩やかではあるものの、アップダウンを繰り返す道程で、大誤算。。。止まってしまいそうな脚に毒づく時、傍らを過ぎる車列から注がれる憐みの視線を、否応なしに感じます(>_<;)    R254に入ると徐々に流れが悪くなり、ほどなく、渋滞の左路側を走るようになりました。なんとも、神経が磨り減ります。美里町を抜けた所で丁度、トリップは200キロを越え、十七時にようやく、寄居警察前。玉淀大橋で荒川を渡り、児玉街道をひたすら進みます。

小川町から越生・高麗川経由で飯能へ向かっても一筆書きは可能なのですが、八高線に沿って走るこのルートは微妙にアップダウンがあって、残り僅かな体力で走るのに相応しいとは、とても申せません。。。ので、連休中の粥仁田峠・秩父高原牧場ライドで味をしめた「R254小川バイパス」ルートで東松山を目指すことにします。
東松山といえば、千人同心街道。千人同心街道といえば、「日光街道杉並木」。「日光街道杉並木」といえば・・・高萩の例の場所に、「アレ」がある!!
閉店時間に間に合うか?

そんなわけで、体力は限界に近いですが、ゆっくり座って食事することは諦め、コンビニでちゃちゃっと「補給」に止めることにします。ホンダの工場前の7-11でお茶とサンドイッチを購入。迫る夕闇に急き立てられるように、燃料を喉に押し込んで、五分前に降りたばかりのサドルの上に。
どちらかというと、まだ埼玉の北の方ですが、豚肉ゾンビさんは早くも自動運転AIを起動。意識低い系ケイデンスでR254を跛行します。





小川町から嵐山町へ。東松山まで19キロということは、十九時ちょっと過ぎに千人同心街道に入ることになります。例の店の閉店時間が二十時なので・・・間に合うか、微妙な所。
アスファルトの上で伸びたり縮んだりする自身の影に、背後に車のライトが迫ることを感じながら、完全なる惰性でペダルを回しています。三週間前の記憶に従って、道路に溢れるクルマの海を漕ぎ進めます。レジャーや買物・食事に出掛けたであろう家族連れの帰宅ラッシュに揉みくちゃにされていますが、武蔵野の春の宵を自転車で走る楽しさは、他にちょっと、較べるモノが無いとさえ感じます。
ドロのように草臥れているのですけれどね。

頭で弾いたソロバンより二十分早く、千人同心街道へ。ヨッシ、いけるっ!

いつも通り、高坂駅前を通ってR407へ。混んでいるのに、クルマの皆さん結構飛ばしますなぁ。。。この道の路側はそこそこ幅があるものの、異物が多くてパンクが怖いんですよ。。。かといって、車道にはみ出すと、関越や圏央道から降りたばかりのクルマに猛烈な速度差で追い越されるし。。。
とうの昔に脚が終わっているのでノンビリ行きたいところなのですが、なにしろテキは高速気分が抜けない日帰りレジャー族。路側線上を進む自転車だからといって、手加減してくれる様子はありません。なので、風に煽られないよう進路を保持するには、必死にスピードを維持するしか手がありません(T T)
そんなわけで、坂戸・鶴ヶ島は(私にとっての)記録的なペースで走り抜けて、十九時半に高萩十字路。信号が変わるのももどかしく、『十万石饅頭』へGO!
・・・あたしゃこれが好きでねぇ・・・餡が本当によく練れてるのに小豆の香りが高くて、オイシイいにしえのホラー映画をプレーヤーやYouTubeで見ながら、生首飛んだり頭がぱっちこ割れたりするシーンでパクパクやると、無上の幸せを感じまする・・・え?・・・売り切れなの?

ガックリと重さを増した身体をサドルの上に持ち上げて、狭山→入間へ。R16に直前、アニメのキャラクターのジャージを纏った、エライ速い女性ローディーさんに追い越されました。
瑞穂辺りからは完全自動運転。もう脚を回す気力・体力は残っていない筈なので、小人さんだか妖精さんだかがペダルを回してくれているのだろうな、きっと。
春のお彼岸の時、入念に墓石を磨いておいたので、ひょっとしたらご先祖様の誰かかもしれないな。
私が自転車漕いでいるのではないことだけは、確かだな~(笑
だって、気が付いたら前アウターのままで、工学院の坂を越えちゃったよ!?
普段の私の脚力から考えれば、ありえないでしょ!?






町田街道も小人さんと妖精さんがペダルを回してくれますが、彼らもお尻の面倒までは見てくれかねるようで、「とび出せ!ボクらの暴れん坊」さんもスタンバイしている模様。どこかで薬塗らなきゃ、ダメかな・・・(T T)
いつもなら桜美林大の前を右折して、町田駅前を通る道に進路を取るのですが、今日は町田街道を直進。サドルに触れると痛いので、もうず~~~と手前から、立ち漕ぎデス(^ ^;)
クルマ通りが消えた長坂を下ると、日付が変わりました。成瀬駅前で丁度、300キロ。今日はピンチの連続でしたが、楽しかったなぁ~(*´ω`*)

というわけで、四年ぶりに300kmを越えるライドを無事、終了出来ましたが、「一日」では走り切れなかったので、成功とは程遠いと言わざるを得ません・・・
距離・標高ともほぼ似たような土坂峠ライドは、23時間で走ることが出来ましたので、今回は7%近く平均速度が落ちてしまった計算になります。
もっとも、吉見百穴近くで路上修理に要した時間を差し引くと、似たような数字になる筈ですが・・・いずれをとっても、サイクリストとしては「規格外」であることは間違いありません。。。(>_<;)







で、御荷鉾林道。
事前に先輩方の記事を拝見して抱いたそれとは、ずいぶん印象が異なる道でした。
まずぶったまげたのが、アプローチの為に通らなければいけない道が、北も南も激烈な勾配だったこと。往路、三波川の月吉地区から保美濃山まで2.8キロの平均勾配が12.4%、復路に使った塩沢ダムから塩沢峠の5.2キロの平均勾配が9.8%(いずれもGPSログから)という数字以上に厳しく感じられました。
尾根に上がってからもキビシイです。「御荷鉾山塊の稜線上の道」という言葉から受けるイメージから、保美濃山まで上がってしまえば何とかなるんじゃないか?・・・と思って臨んだのですが、甘かったと言わざるを得ません。
御荷鉾林道を西に進んだ今回、石神峠までが平均勾配7.2%、秋葉峠までの区間でも4.6%に落ちるのみでした。保美濃山から塩沢峠までの18キロに要した時間はおよそ三時間で、私の脚のダメっぷりを差し引いても、道の厳しさを示していると思います。
勾配以外は、問題になるようなことはありません。落石皆無・舗装も完璧・ロードバイクで全く問題なしでした。

休憩無しで二十四時間以上走らなければならないなんて、流石に無茶でした。粥仁田峠の記事への集中アクセスが一体何だったのか、未だ原因が分かりませんが、気付かず書いてはいけないことを書いてしまっていたのだとしたら・・・今回もまたどこかで、叱られてしまうのだろうなぁ・・・(溜息







こちらも宜しくお願いしますm(_ _)m
粥仁田峠・秩父高原牧場・釜伏峠←新タブで2018年5月16日付記事が開きます。
大涌谷←新タブで2018年5月20日付記事が開きます。
一之瀬林道・柳沢峠・大菩薩ライン(R411)旧道・新笹子トンネル←新タブで2012年1月30日付記事が開きます。
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足利・佐野←新タブで2017年3月11日付記事が開きます。
秩父高原牧場 「天空を彩るポピーまつり」←新タブで2012年5月27日付記事が開きます。
下里分校(小川町)・神流湖(下久保ダム)・土坂峠・合角ダム 撮って出し←新タブで2014年5月11日付記事が開きます。
一之瀬林道・柳沢峠・大菩薩ライン(R411)旧道・新笹子トンネル 撮って出し←新タブで2011年12月18日付記事が開きます。
志賀坂峠・八丁トンネル(金山志賀坂林道)・中津峡・奥秩父もみじ湖(滝沢ダム)・正丸トンネル←新タブで2012年12月18日付記事が開きます。