2017年6月10日土曜日

大井川源流・東俣林道



昔から地図を見る度、いつか行ってみたいと思っていた大井川の源流部。
カーサイクリングの一泊旅行でウロウロして来ました。
一日目は、マイカー立入禁止の畑薙ダムのさらに先の道を、終点の二軒小屋まで往復しました。

胃粘膜の耐久性を試された五月の最終週。金曜の蒸し暑い夜、MTBを積んだ愛車のハンドルを握り、雨上がりの横浜をあとにします。
ETCの夜間割引を利用して、丑三つ時に静岡ICを下りR362へ。
これが細く曲がりくねった急勾配の連続で疲れ果ててしまい、峠らしき場所で一休み。
・・・眠ってしまったらしく、気が付くと周りが明るくなり始めていて、焦りながらエンジンを掛けます。
峠に住んでいるらしい二匹の猫に、餌をねだられたので、コンビニで買ったおにぎりのシャケを崩して与えてから、お別れ。
朝靄の川根本町に降り立ち、大井川沿いの道を北に急ぎます。井川湖から先の道は、拳より大きい落石が絶え間なく散らばる、本当に酷い道。離合も難しくて、冷や汗をかくこともしばしばです。シカや猿の群れが我が物顔に行き交う道を飛ばしに飛ばして、何とか計画通りに六時過ぎ、畑薙ダムの駐車場に滑り込むことが出来ました。





登山者の好奇の視線のもと、早速自転車を組み立て、身支度を整えて、いそいそとペダルを漕ぎだします。
茶臼岳~上河内岳辺りの南アルプスの稜線が、青空を背にすっきりと姿を見せていて、はやる心を抑えつつ、ダムの堤体を横切ります。2キロ弱で沼平のゲート。ここから先はマイカーは通行止めで、発電所や治水・河川パトロールの関係車両と、椹島・二軒小屋ロッジの送迎バスのみが走っている由。左側はまだ、畑薙第一ダムの貯水池の筈ですが、砂というか砂利というか、50mはあろうかという河床が、白く広がっています。この辺のダムは、大井川が糸魚川静岡構造線に沿って流れる関係で土砂堆積が多いらしい。独特な川の色------パステルカラーっぽい水色というか、青白く白濁している------のも、源流部での崩落が激しいことを示しているとのこと。湖を一跨ぎする長~い吊り橋(畑薙大吊橋)が現れたので、挑戦!・・・ともあれ、営林由来の吊橋の雰囲気だけでも味わうことが出来ました・・・(◎_◎;)

橋の袂にはDAVOSのパスハンターが停めてあります。自転車の主はここまで走ってから登山をされているのでしょうか・・・?
対岸はすべて標高2500m以上の山々。世の中には、まったくスゴイ方がおられます。。。





水溜まりを避けながら、林道を北へ。走り出して45分で畑薙橋。ダムの駐車場から7キロ地点なのでまだまだ序盤ですが、ここまで終始、路面は荒れ気味で、距離の割には消耗してしまった印象です。橋の上からダイナミックな渓谷を一望。ルートラボで調べると、林道東俣線の延長はおよそ26キロ。二軒小屋先の作業道まで含めると、片道35キロ近い道程になる筈なので、あまりノンビリもしていられません。

そろそろダムの北端に差し掛かったようで、林道も徐々に、勾配を強めてきました。タイヤの下は、トルクを掛けるとガラガラ転がる石ばかりで、なかなかペースが上がりません。蛇行する川の流れは今や、道の遥か下。二本目の吊橋()が現れました(中の宿吊り橋)。袂の道標には、「所の沢越経由・笊ヶ岳登山口」とあります。傍らには登山ポストと、やはり主を待つTREKのMTBの姿。。。井川側は山の取り付きまで、自転車でアプローチする方法が一般的なのでしょうか???吊橋の方は、全長こそ先ほどの比べて、やや短いようですが、河床までの高度感はこちらの方が遥かに上に感じられます・・・
横索の上に張られた踏板が、実に頼りなく感じられて、うっかり視線を落とすと目が(◎_◎;)

♪やめてけ~れ  ユレユレ・・・♪





古びたコンクリートの橋で、東俣林道は胡桃沢・藤島沢を続けて渡ります。山深くに分け入った感じがありますが、南アルプスと聞けば誰もが連想する、雪を頂いた稜線を望むことは出来ないまま、北へ北へと進みます。四月の後半から悩まされ続けた、胸と背中の痛みについては、幸い今のところ、感じずに済んでいますが、脹脛は大分、重く張ってきました。路傍に落ちる滝に心和みます。やがて、今日初めての九十九折れ。淡々と上って来た道が急に勾配を強めます。転ばないよう、悪戦苦闘しながら這い上がると・・・思わず、「スゲーーーっ!!」と声を上げてしまいました。

青い山脈、キターーー!!




林道の往く手を遮るように聳えるのは、吐水口の赤いゲートが印象的な、赤石ダムの堤体。その向こうに上河内岳が、、青空に向かって頂を突き上げています。右側に見える尾根の雪を被った場所は、聖岳の南側辺りなのでしょうか・・・?

・・・冷静になって写真を見返すと、それほど「青い」わけではないのですが・・・
「アルプス」という語感から素人が連想するような景色を、ようやく目にすることが出来たと、この時はいたく感激したのでした。

ペダルを漕ぐ足にひと際力を込めて、荒れたジャリ道を上ります。その名もズバリ、「赤石トンネル」を抜けて堤体上に出、貯水池の畔へ。白い岩峰の下、エメラルドグリーンの湖水が広がっています。「エメラルドグリーン」とは言っても透明感のあるそれでは無く、なんていうか、絵の具を水に溶いたような独特の色。周りの山々を映す湖面は、艶のあるペンキを塗ったような、ペタッとした質感を湛えています。自転車を引きた若者の一団に出会い、挨拶を交わしました。なんと、折り畳みの小径車!林道はダムから6キロほど大井川源流を離れ、赤石沢を遡ることになる筈。GPSのトリップはおよそ15キロ・終点までの道程の半分ほどを、ようやく消化したに過ぎません。





ガラガラの道は相変わらずの勾配。南アルプスの稜線に目を奪われがちですが、路面を埋める石が大きいので、ハンドルを取られないよう、注意して上ります。崖崩れが目立つ道は、15%はあろうかという激坂。トルクの掛け方が難しく、タイヤが滑ると、ギアやディレイラーが悲鳴を上げます。ダムから1.5キロほど走ると、やはり、桁が赤く塗られたトラス橋が現れました。地図を見ると「新聖沢橋」というらしいですが、大きく弧を描く赤石沢と聖沢の出合にあたる、ココからの景色もちょっと、スゴイです。瑞々しい新緑を移す湖面は、パステルカラーのアクリル板を三日月に切り抜いて張り付けたようで、本当に不思議な色合いです。

落石に打たれ続けたらしいガードレールが、華奢な針金のように、クシャクシャに折れ曲がっています。対岸から見た時、ココは桟橋で路盤を支えているように見えたので、そそくさと通過。オモチャの様な橋を眼下に見ながら、ガラガラ道を這い上った先には、発電所の建屋がありました。可愛らしい三角屋根が大自然には似つかわしくない印象。右を流れる川の音がドンドン高くなり、道を進むとやがて、耳を聾するばかりになりました。左岸へと渡る小さな橋から、沸き立つような奔流に目を瞠ります。後で調べると、大井川本流や奥西河内沢からも水を引いてこの場所で放水し、赤石ダムで発電する仕組みになっているらしい。






昨日までの雨で水量が多かったのか、ご覧の通りの迫力です。

赤石沢橋を渡るとほどなく、川が林道から離れていきました。西に目を向けると、緑が眩しい谷の彼方に、穂先の様に整った三角形をした峰が、雪を頂く姿が見えました。
あの山こそが「赤石山脈」の名前の由来である赤石岳で、標高3121mは南アルプスで四番目の高さとのこと。つい先ほどまで眼下にあった赤石沢は、あの山に源を発して流れているわけです。いつか上ってみたい気もするけど、吊橋で目を回したり、林道でアゴ出しているようじゃあ、ねぇ・・・(>_<;)

有り難いことに、林道はここから、緩く下るようです。赤石沢沿いに走って来た道が再び大井川本流沿いへと乗り越す場所にあたり、帰宅後に調べると「牛首峠」ということが分かりました。右側に現れた分岐には「椹島ロッジ」の文字。赤石岳や聖岳への玄関になっているとのことで、現地では気が付きませんでしたが、林道の左側に登山口があったようです。畑薙橋の先で追い越されたマイクロバスは、どうやらココへ向かっていたらしい。
寄りたい気持ちもありますが、帰路時間に余裕ができたなら様子を見ることにして、今は先を急ぎます。




タイヤが石を蹴る音を聞きながら、気持ちよく下った先は大井川本流。緑のトラス橋から見下す河原は白い石ばかりが目立ち、流れも赤石沢より細く感じます。小型の四輪駆動車が傍らを通り過ぎました。ドアには「河川パトロール」の文字。東俣林道は蛇行する川に寄り添うように走るかと思うと、時に激流を避けるように、森に逃げ込みます。新緑の天蓋に覆われた道を往く、清々しさ。

道端の木が音を立てるのと同時に、視線を感じました。森を覗き込むと、四つの目がこちらを凝視しています。親子らしい二頭の鹿。白いお尻を見せたと思うと、こちらに写真を撮る暇も与えず、木々の間を撥ねるように居なくなってしまいました。

生命の息吹を感じる樹間を縫うように森を抜け、北へと自転車を走らせます。眩しいような若草色の山々の向こうに、赤石岳は姿を消しました。空色の渓流と、若草のトンネル。今度は猿が姿を見せました。野生動物の気配を、いつになく強く感じます。バックパックに括り付けた二つの熊鈴が、高く、乾いた音を、周囲の森に響かせていますが・・・





気が付けば、大井川の流れのすぐ傍まで、林道は迫っています。触れようと思えば触れられるのではないかと思うほど、傍らを流れる水は透明感を増してきて、岩の間を撥ねる水がキラキラと、陽の光を返します。「近い」ということは冠水することもあるらしく、路面は酷くデコボコしています。そういえば、河原には小型車ほどの岩がいくつも転がっていて、恐ろしいほど自然の力を感じます。

先ほどから「管理釣り場」と書かれた幟が、路傍にはためくようになりました。畑薙ダムから、優に20キロを後にしています。マイカー禁止の筈なのに、こんな山奥まで一体どうやって、管理釣り場のお客さんは足を運ぶのでしょうか!?・・・そんなことを考えながらペダルを回していると、先ほどの四輪駆動車と擦れ違います・・・しばらく走るとまたまた、低速で追い越して行きました。ミラーからこちらを窺っているような気配を感じるので会釈しますが、ひょっとして・・・密漁者かなんかと疑われている?
リュックに差したインフレーターを、釣竿と見間違えているとか???

後ろめたいことはしていないので、笑顔を返すよう努力はしますが、正直な所、釈然としない気持ちは残ります。。。





大井川本流に戻ってからやはり、水の色が違うように感じます。再び水量を増した流れは、青い色でも透き通った、より深みのある色へと姿を変えています。林道の右に落ちる滝。気温が上がって来たので、涼しげ気持ちいいです。牛首峠から下った所に架かる橋---滝見橋---からはずっと、左岸を走っていますが、途中二ヶ所ばかり、橋で右岸に渡る分岐がありました。千枚岳・東岳への登山口らしい。ちょっとだけ覗くと、どちらも荒れた径が森の中に消えています。なんかホント、スゴイ所へ来てしまいました。。。
大きなカメラを構えて空を睨む人がいたので挨拶しますが・・・(T T)・・・寂しいっす。
なんとなく、森の様子が変わって来たような?黒々と枝葉を広げた針葉樹が目立つようになり、あたかも、高原の様な雰囲気になりました。
出発から四時間。GPSのトリップは30キロに迫り、そろそろ終点に着くことを期待する心境になっていますが・・・

・・・というわけで、つづきは次回。セコく更新を稼がせて頂きますm(_ _)m





こちらも宜しくお願いしますm(_ _)m
甘利山・鳥居峠・モジリ峠・見返り峠←新タブで2014年11月16日付記事が開きます。
二軒小屋・東俣作業道←新タブで2017年6月14日付記事が開きます。
勘行峰林道・百畳峠←新タブで2017年6月28日付記事が開きます。




 

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