2015年10月11日日曜日

番外編 乗鞍岳に挑戦! (・・・でも、断念っ!!)

ルートラボ版はこちら(←クリックでルートラボへ移動します)
撮影場所を参照できる写真付の地図はこちら(←クリックでピカサウェブアルバムへ移動します)



自転車でえっちらおっちら這い上がったエコーラインについてはいずれ機会を改めて、お馴染みの悪文にてご報告させて頂く予定ですが、ぶた脚さんは20kmほどの行程に四時間半も掛かけてしまったので、岐阜側を走る計画は放棄せざるを得ませんでした。なにしろ六時前に乗鞍高原を出発したのに、畳平に着いたのが十時過ぎ。。。乗鞍スカイラインを平湯峠まで下り、安房峠を越え上高地乗鞍林道を使って乗鞍高原へ戻る当初の案は、50kmという距離を残している点もさることながら、安房峠の+540m・白骨温泉を挟む林道区間の+600mという上り返しを考慮すると、目一杯気張っても六時間程度は掛かる筈で、陽が残るうちに完走することは到底無理かと・・・ここまでの道程に勝るとも劣らぬ、素晴らしい紅葉を目にすることが出来る筈であることを想うと、無念さの残る決断でしたが、それでもさほど気落ちせずに済んだのは、予め「プランB」を用意していたからです。

プランB、即ち「乗鞍岳の最高峰・剣ヶ峰」!・・・です。

観光ガイド本を読むと、穂高や焼岳と違って 2700m+までバスやタクシーで上ることが出来る乗鞍岳は、「手軽なハイキング・コース」風に紹介されていたりすることが多いようです。『ヤマレコ』でも畳平から乗鞍岳最高峰の剣ヶ峰(3026m)に至るコースは技術レベル・体力レベルともに5段階中の「1」と、難易度が最も低いハイキングコースとされています。そんなわけで装備さえしっかり用意していけば、全方面低スキルの私でも何とかなるのではないかと思い、畳平まで時間が掛かってしまった場合は剣ヶ峰まで歩くつもりで自転車を漕いできたのでした。
ところがいざ峠に辿り着くと当日は岐阜側から強い風が吹いていて、畳平の駐車場は次々と運ばれてくる雲に覆われ、あまり視界が良くありません。鶴ヶ池やお花畑も、時に全く見えなくなってしまいます。とりあえず食事しながら様子を見ることに。バスターミナルの賑わいをよそに閑散とした食堂で700円のそばを啜り、恵比寿岳を背景に記念写真を、ということでカメラのタイマーと悪戦苦闘していると、登山の支度をしていた初老のご夫婦に声を掛けられ、シャッターを押して戴きました。剣ヶ峰に行こうと思うが、躊躇している旨お話しすると、若いのだから大丈夫!と背中を押され、ようやく腹が決めることができましたm(_ _)m
お花畑へ降りる登山道には、ジーンズ姿の若い娘や小学生くらいの親子連れ・赤ん坊を抱いたお母さんまでもが歩み進めています。指導標を信じるなら、剣ヶ峰までは90分とのこと。これだけカジュアルな服装の人が多いということは、下調べした限りでは初心者向けのコースとの情報を裏付けているのでしょう・・・か?一応、アルプスの頂に登るので登山靴と防寒着はリュックに入れて自転車を漕いで来たのですが、ちょっと拍子抜け。気温が四℃なので防寒着は自転車用のウィンドブレーカーの下にさらに二枚追加して丁度・・・ですが、履き替えた靴はオーバースペックかな・・・と感じつつ、初めて経験する標高3000mの世界に胸を弾ませて歩き出しました。

・・・おかしな安心感を得て臨んだのはとんでもない間違いだったヨ!
本日一番の難所は、実はココからだった・・・という罠。





水辺の高原植物の宝庫と云われる鶴ヶ池とお花畑は、相変わらず白いベールに覆われたまま。西から吹く風に吹きちぎられた雲の流れが、次々に陽を遮るので、周囲の明るさが目まぐるしく変わります。視界の悪さや寒さに対してよりも、風の強さに不安を感じます。

なにしろもう、初手の峠からこんな按配で・・・↓




お花畑の木道から石段を上ると、幅広い砂利敷きの林道に出ました。雲だか霧だかで見通しは悪いですが、元気のいい子供達や賑やかな山オバサンの一団に引っ張られて、ペース良く歩きます。一瞬霧が晴れて、不消ヶ池が姿を見せてくれました。空は雲に覆われているのに、空の色をしている不思議。ほぼ平坦な道を10分ほど歩くと、摩利支天分岐。立入禁止の看板には、先ごろノーベル物理学賞を受賞された梶田隆章教授が所長を務める、「東京大学宇宙線研究所」の表記が・・・林道の左側は、さきほど喘ぎながら上ったエコーラインや乗鞍の大雪渓を見渡すことが出来る絶壁。なので、極力右側を歩くように心掛けて肩の小屋へ。ブランド物で身を固めた中国人カップルが路肩ギリギリに立って、自撮り棒で記念撮影していましたが、とてもじゃないですが声を掛ける気にはなれません・・・(^ ^;)

1キロちょっとで林道歩きはおしまい。目の前に覆いかぶさるように迫る岩山は、登山道がいよいよ、のっぴきならない状況になって行くことを、あからさまな形で予告しているかのようです。。。




添乗員さんに率いられた中高年団体で大変なことになっている肩の小屋を過ぎると、壁にぶち当たったかの様な山肌が目の前に広がります。岩肌を這って上るが如き小径を指す指導標には「剣ヶ峰  50分」の表記が・・・目指すべき南の道の他、西へと進む道もありますが、こちらは権現池に続いているのでしょうか?時折、台風の時を思わせる様な風が、北西から吹きつけます。躊躇いつつも、途切れることのない登山者の列に押されるように岩山へ。前の人の足元を見ながら急勾配のガラガラ道を上ります。手を突きながら上る岩場か、拳大~バレーボール大の石が転がる斜面で、足元は常に心許なく、上る時は注意すれば何とかなりそうですが、同じ道を下らなければならないことを考えると、気が重くなります。この点、安定の悪い岩に注意を促すペイントが施されているのは心強い限りですが、なにしろ登山者の往来が多く、道幅一杯に避けて待ってもにっちもさっちもいかなくなることがしばしば。東側は転がり出したら止まりそうもない急斜面。なにしろ豚は人間より丸いので・・・これがホントの 『転がる記』だって、シャレにも何にもならないっス(T T)




岩だらけの斜面を、九十九折れながら這い上がります。東側は大雪渓を眼下に望む絶景ですが、高所恐怖症なのでうっかり目を遣ると鼠蹊部が大ピンチで・・・足下を避けてやや視線を上げると、位ヶ原の大パノラマが雲の間から望めます。強風に耐えてパンチパーマみたいになった、ハイマツ緑が埋める前川本谷のそこかしこに、パレットの上に絞った絵の具さながらの、ナナカマドの赤やダケカンバの黄色。あまり見とれていると吸い込まれてしまいそうで、どこまで上らなければならないか、確かめるため視線を南に移すと、朝日岳(2975m)と思しいピークはまだまだ遠く、遥か高い場所にあるようで・・・




・・・斜面の勾配がいよいよ ↑ 大変なことになって来て、一時も緊張が抜けません。なにしろ自分の真上にも真下にも人がいるので、さて次はどの岩を踏むか、一足進む毎に慎重に選ばざるを得ません。自転車で散々ご覧いただいている通り、気力体力ともダメダメな人なので、上っている間二回ばかり休みました。疲労が限界に近づきつつあるのを感じますが、重力に逆らって体を持ち上げることよりも、おぼつかない足場に注意を払い続けなければならないことの方が、消耗を大きくしている印象です。それにしても、目の前を過ぎる老若男女の足取りの軽快な事といったら・・・世間の平均より若干、脚力(だけ)は上だろうと自負しておりましたので、これは結構、凹む光景です・・・(>_<)
あまり長い間休んでいると、高度感に圧倒されて動けなくなってしまいそうなので、空のボトルをリュックにしまって歩き出します。寒いのに水の消費の早いこと。いまにも転がり落ちそうな岩の間を縫うようにして稜線に上がると、ぶっ飛ばされそうな横風が吹いています。肩の小屋で吹いていたのと同じ、北西からの風ですが、何人か横に並ぶと平場が一杯になってしまう稜線の上でのことなので、かつてないほど強く、滑落の恐怖を感じます。




さっきもいったけど、ブタは人より転がりやすいんだってば!!(゚´Д`゚)

これが3000mの世界なのですね・・・ほんの入口っぽいけど。ご近所のKさんは年中アルプスの縦走をやっていて、「ふ~ん」という感じで話を伺っていたのですが、これからは三顧の礼を以って、教えを請わなければなりますまい・・・




行く手にはなおピークが二つ。手前が蚕玉岳(2979m)・奥が剣ヶ峰(3026m)なのでしょうが・・・

なにしろ、稜線の幅が ↑ この位。
そんで、ゴウゴウゴウゴウ  尾根を真横に、風が吹き越して行きます。
さすが中央分水嶺(太平洋側=木曽川・日本海側=信濃川、神通川)の3000m峰・気合が違うぜ!

片足を持ち上げるたびに、よろける、竦む。

なんとはなし、土俵下に転がる臥牙丸関を想像してリラックス・・・できません(T T)

たまらず風除けにしがみついた大岩が・・・
風の強弱に合わせて、小刻みに揺れるのが分かるんですよっ!(泣

中学に上がっているようには見えない坊やたちとか・・・コンビニ袋を下げたブルゾン&ジャージ姿のオトーサンとか・・・紺ブレ&チノで決めたあんちゃんと、スニーカーにしか見えない靴履いた娘のカップルとか・・・
どうしてあんたたち平気な顔して歩いていられるンだっ!?(泣←小池朝雄風で脳内再生プリーズ





中腰蟹歩きでどうにか手前のピークに辿り着いたものの、風除けの岩にしがみついたが最後、尾根を下りことが出来ません。
右も左も転がり出したら止まりそうもない急斜面。尾根の隘路には横殴りの風。ブッ飛ばされそうな恐怖に竦み上がってしまい、自撮りをしたくても腕を伸ばすことさえ、ままなりなせん・・・(←チキン
登山者の列の色とりどりのザックが、山に絡みつく蛇の模様に見える隘路の先、剣ヶ峰の山頂神社は、すぐ手が届きそうな所に見えています。
    残り200mほどの筈ですが、脚が竦んでどうしても前に進めません・・・
ストンッ・・・という感じの腰の抜け方は、神社の縁日会場から虚空に上って行く銀色風船を、UFOと勘違いして腰を抜かした遠い秋のあの日・・・以来かも知れません。
UFO誤認事件の責のほとんどは、前夜放送された『矢追純一UFOスペシャル』のドラマチックすぎる演出に帰せられるものでしたが、今のこの事態を招いたのは他ならぬ、私自身。 岩にしがみついたまま身動きが取れなくなって、救援を呼ぶ破目にでもなったら、生涯物笑いの種。。。周囲からはいよいよ、絶滅寸前のUMAのように扱われることになりましょう・・・

そんな事態だけはっ!なんとしてもっ!!避けなければなりませんっ!!!・・・・・・撤収・・・




下りは上りの倍時間をかける気持ちで歩を進めます。おっかなびっくり足先で足場の安定を確かめてから、重心を移す・・・ということを繰り返していても、時々足元の石が転がったり岩が動いてバランスを崩しそうになったりで、なお気が抜けません。懸命に足許を見つめ続ける行程ですが、視線を上げてうっかり東側の絶景を目にしてしまうと、高度感に圧倒され、眩暈を覚えそうです。西側には往きには姿を現さなかった権現池。12個ある火口湖の内もっとも標高の高い場所にあり、日本では御嶽山の二ノ池に次いで2番目の高所にある湖沼(wikipedia『乗鞍岳』より)とのこと。下山を始めたら気持ち、風が弱くなったような・・・お昼の食事時間が過ぎたせいか、下から剣ヶ峰を目指して上って来る人は増えているようで、行き違いにお互い気を遣う場面が、往路より増えているかも。何度かヒヤヒヤする場面はありましたが、肩の小屋が再び見えて来た時は心底、ホッとした気持ちでした。風が再び強くなって来ましたが、先程書いた通り、ここからは広い林道ですので・・・




先程も書いた通り、林道はほぼ平坦なのですが、砂利敷きが疲れた足にはなかなかこたえます・・・摩利支天分岐へ歩きはじめると、往きと同じく乗鞍大雪渓を望めるのですが、先ほどと違い雪の上に何か動くモノが見えるのですが・・・
デジカメを最大ズームにしてレンズを大雪渓に向けると、液晶には無数のスキーヤーの姿が!!
山スキーっていうんでしょうか?勿論リフトなんかない場所なので、カニ歩きで雪原を登って行く人の姿も見えるわけですが、斜度30度位の場所ですよ・・・(゚Д゚;)
そもそも、大雪渓までどうやって上って来たのでしょうか?エコーライン走ってた時、大雪渓・肩の小屋口のバス停の所にMTBがズラリと並んでいて、この自転車の主たちはどこに行ったのかと訝しんだのですが、まさかスキー板背負って上って来たとか・・・?世の中には、物凄い人がいるものですなぁ・・・




お花畑まで戻ると、風はすっかりおとなしくなっていました。時間の関係なのか、或いは地形的な要因だったのか、そういえば、強く吹く風に恐怖を感じた地点は鞍部ばかりだったような・・・エコーラインの峠まで戻ると、やはり猛烈な風が吹いていて、県境標識を背景に記念撮影しようとするサイクリスト達が、自転車を吹き倒されて悲鳴を上げています。私が引き返した蚕玉岳も、鞍部さえを過ぎれば風が弱くなったのか・・・と後悔してもあとの祭り。結局、標高3000mには13m届かず、登山の方も半端な結末になってしまいました・・・
イヤイヤイヤ、畳平の駐車場が自転車で埋まってますぞい。。。駐輪した場所に戻り、パッキングを解く男性に翌日のスケジュールに関わる、有益な情報をいろいろと教えて貰って、麓へと下る帰路に就きました。


2 件のコメント:

横尾寿秋 さんのコメント...

見事な景色ですね
さんざん自転車に乗って来たわけですから
そりゃあ疲れますよ
登山と自転車ですと若干使う筋肉の場所が違いますからね
私も登山の後はショボイ山でも筋肉痛になりますね
まぁ、登山も慣れですよ!
あと3本くらい別の山に登ったら日ごろ自転車で鍛えられている訳ですから
ホイホイ抜いて歩けますよ

ボラザぢぃ さんのコメント...

タマチャリンさま
こんばんは~(゚▽゚)/
子供さんとかカジュアルな装いの人達がホイホイ歩いて行く所でアゴ出しちゃったもので、凄く落ち込んでいたのですよ~(ToT)
そう言って戴くと、大変励みになります。ありがとうございますm(_ _)m
こんな広い尾根でも怖くて写真すら撮れない場所があって、以前記事にされていた滝山・大澄山?の痩せ尾根とか、高塚山の細尾根とか、改めて写真を拝見して、スゴイっ!と思いました。
折角少し高い場所に馴れたのに、あまり間を開けるとまたリセットされてしまうとマズイと思って、連休の最終日に丹沢山に上って来ました。
書きあがったら、どうぞ読んでやってくださいませ~m(_ _)m
コメント有難うございました。m(_ _)m