2014年7月30日水曜日

湯之奥猪之頭林道

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夏の弾丸輪行・第二弾は西富士の天子山塊を東西に越える湯之奥猪之頭林道へ行って来ました。
富士山の絶景で知られ、天子山塊の最高峰である毛無山(1945.5m)の南側、熊森山(1574.5m)と雪見岳(1605m)の間を東西に抜ける全長約500mの湯之奥猪之頭トンネルを境に、静岡側7.3kmが富士宮市営林道・山梨側の9.6kmが県営林道となっています。出発前には、富士宮から下部温泉に抜けてこの林道を消化した後、安倍峠を越えて梅ヶ島温泉に向かうか、或いは本栖みちを本栖湖へ上るか、いずれにせよ120km弱のライドを計画していたのですが、暑さはともかくとして、汗が全く気化しない湿度の高さに消耗してしまい、トンネルを越えるのがやっとという有様でした・・・orz

横浜線始発電車に乗り、横浜駅で5:48発の沼津行に。朝からムッとする暑さ・輪行袋担いで改札とホームを移動するだけで汗まみれに。安倍峠に向かうのなら静岡発ですが、この暑さの中安倍川を梅ヶ島まで遡る45キロにも及ぶアプローチを漕ぐ自信が無かったのと、身延線は帰りの本数が心配なので、富士宮出発にして身延線に乗り換えます。
富士駅で後尾車両の運転席背後に自転車を置き、跨橋を駆け上がって弾んだ息を整えていると、「どこまで輪行するの?」との声。口髭に薄茶のサングラス、EXILE のATSUSHIにちょっと似た雰囲気の、一見するとコワい感じのお兄さん。猪ノ頭の林道へ行くことを告げると、破顔され「いい所見つけたじゃない。あの道は最高だよ!」と。「ただ、トンネルまでは間違いなく行ける筈だけれど、下部温泉に抜けられるかどうか、通行止めだったらいけないし・・・」と、スマホでどんどん調べてくれます。改めて視線を落とすと、Tシャツは一昨年半ベソかいて上ったスバルラインが描かれたMt.富士ヒルクライムの公式ウェアです!
趣味はバイクで林道を走る事との由ですが、今はカーボンのロードバイクの方にハマっておられるとか。ネット上には無い、地元の方ならではの林道情報を色々教えて頂きました。西富士宮から走るか、富士宮から走るかまだ決めかねていたのでお聞きしたところ、白糸の滝から猪ノ頭へ入口が容易に見つかるとの理由で富士宮を勧めて戴きました。スマホの地図でポイントを確認。見ず知らずの人にこんなに親切にして頂くことって、少なくとも普段の生活の中には殆どありません。。。見知らぬ同好の方との一瞬の邂逅は、私にとって間違いなく輪行をする醍醐味の一つとなりつつあります。ただ一言、「楽しんで!」と残して電車を降りる後姿のカッコ良さ。粋だわ~
お忙しい中、楽しくも得難い時間を、本当にありがとうございましたm(_ _)m

八時半前に富士宮に降り、パッキングを解くのももどかしくサドルに跨って出発。取敢えずは12キロ先の白糸の滝を目指します。
梅雨明け直後にしては、陽光はさほど強いとは思えないのですが、まとわりつくような暑さの中、どっと汗が噴き出て来ます。
これはなかなか・・・脚が回らんぞい・・・(焦
いつまでも汗が気化しないで、通気性が良い筈のジャージを重く濡らしているあの感じ・気温云々より湿度の高さが消耗を早める印象です。いつもなら落ちる前に乾いてしまう額の汗が、容赦なく目に入り込んで来ます。一昨年昨年の富士山一周ライド同様、富士宮市内の朝霧高原へ続く上りは、下手な峠上り以上に厳しいことを再確認しました。朝霧高原~鳴沢は高原らしいサイクリングが楽しめるのですが・・・天国の門前での審問ですな。白糸の滝前のファミマで給水休憩。一時間のチャリ漕ぎで既に500mlペットボトル二本を消費、富士宮からの平均速度は9.5km/h・・・滝を見に行く精神的余裕は、もう残っていません・・・(T T)
道の左を流れる芝川の清流に癒されながらペダルを漕ぐうち道を間違え、気が付けばR139の入口に。自專道なので勿論引き返し、10分ほど前気付かず通り過ぎた青看の指示に従って田貫湖方面へ。天子ヶ岳~毛無山が目の前に広がりますが、稜線は雲に滲んでいます。既に朝霧高原らしく、脚に感じる負担は軽くなりました。教えて戴いた通り、突き当たったT字路を左に折れると猪ノ頭地区。商店で四本目のスポドを補充すると同時に、五本目のコーラをイッキ飲み。こんもりとした鎮守の杜手前に、やはり教えられた通り控えめな大きさの、「←林道湯之奥猪之頭線」と書かれた指道標が立っていました。富士宮から22キロ・いよいよ本番です!
中学校のグランド脇を抜けると、ひろ~い草地が広がっています。先ほどから頭上に舞っているパラグライダーの内の一機が、八の字を描くように高度を下げ、草地へ着陸しました。着陸場兼パラグライダースクールの駐車場として使われているようです。前トリプルの真ん中の歯を使って、杉林の中に伸びる道を登って行きます・・・キツイっすなぁ・・・コマクサ峠の疲れが抜けていないのだろうか???
林道入口から4キロ×40分・もどかしいほど進まない自転車を降りて最初の休憩。ヘルメットの中が汗で蒸れて、軽く頭痛がする様になって来たので、バックパックに入れてしまいました。沢を詰めて九十九折れが始まると、やや勾配が緩んで脚の方は楽になりました。が、文字通り滝の中で自転車を漕いでいるような、汗の出方は相変わらず。2リットル目のペットボトルを空にして馬の背に乗ると、沢山のパラグライダーが滑空する谷を一望できる場所に出ました。疲労困憊・頭上のパイロット以外近くには誰もいないみたいなので、思い切ってジャージもバックパックにしまって、トンネルまでは3/4ビブにタオルを巻いただけの姿で上ることにします。休憩中も無数の機体が旋回していますが、中には、高度を落とすどころかむしろ上昇している様に見える機体もあります。上昇気流に乗っているのでしょうか?それにしても、音も無く舞うパラグライダーを見ていると誰かの夢の中にいる様な、テリー"G"の夢を見ているような、不思議な気持ちになります。
汗で重いジャージを脱ぐとウールのコートを脱いだように体が軽くなりました。幸いビブですので、鱶のように膨らんだ白腹は、ギリギリ布に隠れて見えません(^ ^;)右側は鋭く落ちる谷・左側はコンクリートでガチガチに固めた法面という道を2キロ強進むと、大分手前から目星をつけていた鞍部の真下にトンネルが口を開けているのが見えました。
12時半・なんとか湯之奥猪之頭トンネルに到着・・・
標高1200m超なのですが、少なくともトンネルの外は全然涼しくはありません。東側の坑口のすぐ外が、30m位の高さで涸れ沢を渡る橋になっていて、富士山の絶景を眺めることが出来る知る人ぞ知るポイントとのことですが、今日は生憎ガスっていて、霊峰の山裾さえ拝むことが出来ません。。。昨夏の富士山一周の時といい、今回といい、どうも私は富士山に嫌われてしまっているような・・・(T T)空気の透明度が高い晩秋~初冬にもう一度訪れてみたい・・・そんな想像力をかき立てられる景色でした。

そして、やっぱり夏のトンネルはヒンヤリ気持ちイイ!

少しでも長い間涼しい場所に居たいので、トンネルの中でジャージとヘルメット・グラスを身に着けてから、ゆっくりと最後の水を飲み干し、意を決して身延側へと飛び出します。富士宮側に比べ、さらに一段と深く険しい河谷の風景。ぶたのゼノンに比べて握りずらいソラのブレーキレバーを握りっぱなし。サドルが泣き、シューは減り、あれよあれよと肩が重くなります。それにしても、地形図やデータから事前に想像できなかったほど、身延側の湯之谷渓谷は深い印象で、時に風景のあまりの激しさに圧倒され、言葉を失います。たまに落石があるものの概ね舗装がスムーズである点や、全線に渡ってガードレールが備え付けられている点を差し引いても、下部川右岸に刻まれた線形はトリッキーで、戦慄を覚えます。無論その分、絶景ポイントは多いってことなのですが。
下りに入って涼しくなるかと思いきや、こちらの方は相変わらず。いつもなら風を受けて乾いてしまうジャージも、ベトベト。小さな橋から降りて行けそうな適当な沢があったので、水浴びしてジャージを洗えば若干疲れも取れるかと思い、下ってみますが・・・どうもやはり、回復しません・・・(^ ^;)
この季節に紅い枯葉が道を埋めています。何の木だろう?路傍に毛無山登山道の指道標があり、すぐ脇に立つ案内板の説明が面白かったので引用します。
    毛無山の中山金山

    毛無山の山腹には甲斐の武将武田信玄公の採掘した金鉱の遺跡がある。これを湯の奥金山と云う。湯の奥金山には中山・芽小屋・内山の三ヶ所の金鉱がありその中最も大掛りに採掘されたのがこの中山金山である。
    金山の最盛時を偲ばせるものの中には、中山千軒と呼ぶ土地言葉も伝って鉱夫等の守護神であった金山神社が七社祀られていた。さらに大名屋敷、女郎屋敷、七人塚(墓地)等の地名も今に伝わり往時を偲ばせて居る。
    長期に亘り採掘した現場厳しい懸崖の地にあり坑道跡も僅か十ヶ所前後のものとなっている。昭和四十年代集落跡から多彩な出土品もありその主なものには安土桃山時代の作品と伝われる天目茶碗等の出土品もあった。
    又、毛無山頂に登ると霊峰富士が眼前に展け遠くは駿河湾・甲府盆地など一緒に望みその風光はすばらしい。郷土の尊い文化遺跡に付荒さないで下さい。
    昭和六十一年三月
    下部町商工会村おこし事業

三年前に行った一ノ瀬に伝わる話といい、金山にはこういう女性がつきものなのでしょうか?厳しく、悲しい話だなぁ・・・それにしても、武田信玄の金山って、本当にあちこちにありますよね。あと、「隠し湯」とか?湯ノ奥橋を渡ると見慣れた山梨県の林道起点標識。東から合流する沢の先に視線を移すと、毛無山の山頂は黒い雲に覆われています。1キロも走らず湯ノ奥地区。藁葺の大屋根がひときわ目を引きます。集落の中の道は一番の急勾配の上、滑り止めの縞々を刻んだコンクリートの簡易舗装で、ここだけは十分に減速しないとロードバイクのタイヤにはキツイかも。標高は500mを切り、下部川の河床近くまで下りて来ました。道の左は北側の支流と下部川本流との出合が作る広い河原で、200~300mはあろうかという幅いっぱいに、白い石が転がり、辺りを埋めています。雨が降ると暴れ狂う川なのでしょう。朝方富士宮で28℃だった気温は、32℃にまで上がって、額から大粒の汗が吹き出します。まだまだ下りなのに・・・
朝方お話しした人に教えて戴いた、赤い橋が見えました。北詰に立つ標識には「林道三石山線」とあります。地図で見る限りは大垈(おおぬた)地区・椿草里(つばきぞうり)地区を経て塩ノ沢温泉で富士川沿いの国道に抜けることが出来る道のようですが、名前から勝手に想像すると、佐野川から思親山の北を越える林道あたりまで接続しているのかも。教えて戴いた所では、椿川に抜ける途中に富士川と身延線・背景に南アルプスを望む絶景ポイントがあるとかで、這い上がる余力があれば是非行ってみたいのですが・・・上の方にガードレールの「縞々」が見えるし、そもそも水残ってないし・・・orz!
悄然と下部温泉まで下って定時連絡。。。
    安倍峠行くんじゃなかったのw?  ←無理無理無理!
    井川雨畑w?  ←死んでしまいますよ!!!
    本栖みちはw?←・・・・・・
    軟弱者!!!→下部温泉から輪行しま~す♪

駅に着くと、あと五分で甲府行きが来るとのことなので、三分でパッキングして電車に飛び乗ります。
結局、当初の目的だった筈の南アルプスは、指先がかすりさえしなかった訳ですが・・・繰り返しになりますが、天子山塊の身延側は思っていた以上に味わい深い景色で、空気の澄み渡った秋にでも是非リベンジしたい所です。あと、佐野川の奥の方も面白そうだし・・・安倍川にしろ井川にしろ、今まで私が挑んだ林道に比べスケールが桁はずれなので、南アルプスの予行演習として、まずは身延周辺をじっくりと攻めるべきなのかも・・・冷房の効いた車中では、ボンヤリそんなことを考えていました。次々に行きたい所が出来て、お金が足りない!
向かうに座ったオトーサンに、昭和六年の小学生たちの同窓会の話を伺いながら、電車の席に沈むように身を委ね、帰路に就きました。
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